今回は、Fiber Shopという髪の毛テクスチャの生成ソフトを使い、Arnoldレンダラ―でレンダリングできる髪の毛ポリゴンの作り方を紹介します。
XGenと格闘するのが煩わしい人、手軽に髪の毛を作ってみたい人はぜひ最後まで見ていってください。
今回は大きく分けて3つのチャプターに分かれます。
- Fiber Shopを無料版で試してみる
- Fiber Shopの簡単使い方3ステップ
- Maya Arnoldで髪の毛のマテリアルを作る
上のリンクから【Download】ページに飛び、最新バージョンをダウンロード、インストールします。
料金プランがいくつかありますが、ダウンロード・インストールの時点では料金は発生しません。Free版を使うには、Fiber Shopを起動してライセンスをアクティベートせずに続行します。
下の画像は2021/11/5時点での料金プランになります。ホームページで確認ができます。
Fiber ShopはFree版が用意されていますが、商用利用が不可で機能制限があるので、Free版を使ってみて良さそうだったら有料版に乗り換えると良いと思います。
Free版では512Pixelまでの解像度のテクスチャは書き出せるため、今回はFree版で作り進めてみました。
- 【Design】タブで形を作る
- 【Bake & Colors】タブでテクスチャベイク
- 【Export】タブでテクスチャエクスポート
下の画像はFiber ShopのUIです。
中央のビューで髪の毛の形や色などを確認できます。
右のウィンドウでパラメータ調整などをおこないます。
左上のウィンドウで毛の束を複製したりできます。
今回はこのあたりしか使いません・・・!
1.【Design】タブで形を作る
設定項目に関して特に重要な部分にチェックを入れておきました。毛量、長さ、太さ、ランダム性などを設定できます。
これだけでは形が単調なので、さらに調整を加えます。
[Add Modifier]を押します。
[Add Modifier]で、髪の毛にうねりや束感などを加えられます。
[Add Modifier]を押して出てきたアイコンの中から[Curl]を選択します。
[Curl]は全体にうねりを加えるモディファイアです。
Scaleの数値を小さめにしておくとストレートで自然な感じになります。他の項目は微調整です。
さらに、[Add Modifier]を押して出てきたアイコンの中から[Clump]を選択します。
[Clump]は毛先に束感を加えるモディファイアです。
下の方のStrengthの数値を小さめにしておかないと、毛先が鋭くなりすぎるので注意が必要です。他の項目は微調整です。
これだけでも良いですが、毛量が少ないパターンの髪の毛の束も作っておくと便利です。今回は2パターンを作ります。
FiberShop画面の左上、[FIber Blocks]タブ内の[block]を右クリック、[Deplicate]で複製します。
髪の毛の束が複製されました。
ビューポートで左クリックドラッグで元の髪の毛の束の隣に配置しておきましょう。
毛量を変えたいので、画面右、[Design]タブの設定を調整します。
毛量を減らすためには、モディファイアではなくデフォルトからある[main scatter]で調整してください。
2.【Bake & Colors】タブでテクスチャベイク
ここからはサクサク進みます。
画面右のタブを切り替え、【Bake & Colors】タブにします。
解像度を選択(Free版は512)し、[Bake Maps]をクリックします。
そうすると、[Design]タブで作成した髪の毛の情報を元に、albedoやspecularなどのテクスチャが生成されます。この時点ではまだエクスポートはされていません。
【Bake & Colors】タブ内、右上のレイヤマークの隣で、属性を切り替えて確認できます。
3.【Export】タブでテクスチャエクスポート
[browse]で書き出し先を指定して、[EXPORT]でテクスチャ書き出しです。
デフォルトの設定で、画像が5枚書き出されます。
Mayaで簡単にシーンを作成しました。ライティング環境は、HDRIを読み込んだArnoldのSky Dome Lightです。
髪の毛のテクスチャを使う際に準備するのは、横に分割がいくつか入った平面です。上の画像で選択されている平面がそれにあたります。
髪の毛テクスチャをアサインする平面に対して、aiStandardHairマテリアルをアサインします。Hypershadeから検索して作成し、アサインしましょう。
aiStandardHairマテリアルの[Base Color]と[Opacity]にFileノードを接続し、テクスチャを指定します。該当箇所は下の画像に示しておきました。
テクスチャを指定していきますが、
- [Base Color]にalbedoテクスチャ
- [Opacity]にalphaテクスチャ
をそれぞれ指定します。
albedoテクスチャは[Color Space]を[sRGB]にします。
alphaテクスチャは[Color Space]を[Raw]、[Alpha is Luminance]のチェックを入れます。
aiStandardHairマテリアルの[Melanin]の数値はでメラニンの強さを調整できます。
0に近いほど金髪のようになり、1に近いほど黒髪のようになります。
髪の反射を調整する場合はSpecularタブの[Roughness]と[IOR]を調整します。
[Roughness]は光沢感、[IOR]は光沢の強さが変化します。
見た目についての設定は以上です。
後は髪の毛を配置してレンダリングです。
髪の毛を配置していきますが、先に扱いやすいよう平面を分割しておきます。テクスチャは髪の毛を2束作りましたが、その束に合わせてカットを入れ、分離しておきます。
髪の毛なので、上から下へ垂れ下がるように変形させて、配置します。
板ポリゴンの為、厚みを感じさせるためには、間にエッジを1列入れて丸みを少し作ると髪の毛の形っぽく厚みを感じさせられます。
Arnold Rendererでレンダリング確認をします。
メラニンとスペキュラを調整するとレンダリング時の印象が変わります。
好みに合わせて調整してください。
■まとめ
ベースカラーの色は暗めの茶髪の色でしたが、aiStandardHairマテリアルのメラニンの調整によって明るくできたり暗くできたりするため、Fiber Shopでの色調整はそこまでこだわらなくても良さそうです。髪の色が緑や赤など特殊な場合はメラニンでは対応できないので、Fiber Shopでベースカラーを調整してください。
毛の作成は、XGenなどのシミュレーションに近い作成方法もありますが、クオリティを上げるのにコツが要ります。今回の記事のようにポリゴンベースで毛を作成する方法は、覚えておくといざという時に素早くモノが作れそうですね。
以上、Fiber ShopとArnoldで簡単に出来る髪の毛の作り方でした。
気になった方はFiber Shopをダウンロードしてみてください。
では”(-“”-)”
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